007/消されたライセンス | 撮影現場で怪奇現象?呪われた1作で有名、災難が続き6年間の空白に突入することに…

あらすじ

親友のフィリックス・ライターと、麻薬王サンチェスを逮捕したボンド

だが逃走に成功したサンチェスは、ライターに重傷を負わせ、彼の妻を殺害する

怒りに燃えるボンドは復讐を誓うが、上司のMから「事件に手を出すな」と命じられ、殺しの許可証を奪われてしまう…

キャスト、スタッフ

 

キャスト 役柄
ティモシー・ダルトン ジェームズ・ボンド
ロバート・デヴィ フランツ・サンチェス
ベニチオ・デル・トロ ダリオ
キャリー・ローウェル パメラ・ブービエ
タリサ・ソト ルペ・ラモーラ
デヴィッド・ヘディソン フェリックス・ライター
ロバート・ブラウン
デスモンド・リュウェリン
キャロライン・ブリス マネーペニー

 

スタッフ
原作 イアン・フレミング
監督 ジョン・グレン
製作 マイケル・G・ウィルソン、アルバート・R・ブロッコリ
撮影 マイケル・G・ウィルソン、リチャード・メイボーム
編集 ジョン・グローヴァー
音楽 マイケル・ケイメン
主題歌 グラディス・ナイ

「License To Kill」

興行収入

世界興行収入約1憶5400万ドル(約160憶)、1989年度世界興行成績11位

世界興行成績の10位圏外はシリーズ初、日本でも年間10位圏外と大惨敗

 

感想(ネタバレ有)

ティモシー・ダルトンにとって2作目にして最終作となってしまった、曰く(いわく)つきの作品

クライマックスの爆破シーンで、燃える炎が手のような形をしている写真は映画ファンの間では有名な話

ちなみに、同じ角度の映像や別方向の写真などには炎の手は映っていなかったそうです

他にも作品に参加した複数のスタッフが現場で無人の車が動くなど、数々の怪奇現象に見舞われました

クライマックスの現場付近の崖は過去に何回も転落事故が発生している曰く付きの場所だったらしく、もしかしたら今作の撮影で起きたトラブルは…

 

不運は現場以外にも起きてしまいました

 

1つは興行成績の急激な悪化

ティモシー・ダルトンの人気が低いからという意見もありますが、前作「リビング・デイライツ」が全世界で約200億円の大ヒットを記録していますので、ダルトンの人気が低いという理由は無理があるかと。

低下の原因は、007シリーズでは珍しいバイオレンスなシーンが多かったのが影響して、世界各国でR指定を受けたのが大きい理由でしょう

単純に戦略的なミスだとは思いますが、R指定とはいえ前作から40億近くの落ち込みようには少し疑問は残ります

過激という批判もあったかもしれませんが、ダルトンらしいハードなボンドを強調するには、多少のバイオレンスな演出も必要だったとは思います

ビジネス的に見ると失敗だったので、難しい部分ですけど

 

2つ目はシリーズの製作中断

007シリーズの権利を巡ったトラブルは過去にもありましたが、この時期のトラブルが一番長引きました

権利問題が発生している間に冷戦が終結したり、ボンド役のティモシー・ダルトンが降板したりと災難が続き、約6年もの空白に繋がってしまいました

007シリーズの名物プロデューサーのカビー・ブロッコリーは「消されたライセンス」で引退していますが、権利関係の争いが負担となり、作品を作る意欲がなくなってしまったようです

一歩間違えばシリーズの終了の危機だったので、空白期間は007シリーズにとって一つの山場だったのは間違いありません

 

興行成績の悪化、怪奇現象、権利問題など色々と悪いことが重なった今作ですが、作品の内容は、けして悪くありません

親友のライターの為にボンドが殺しのライセンスを捨てて復讐に燃えるという異色作

諜報員ではなく、人間味があるジェームズ・ボンドを描いた初の作品ではないでしょうか?

当時は凄腕諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を期待しているファンが多かったので、私情で動く人間的なボンドはウケが悪かったのかもしれません

感情剥き出しのボンドなんて、今作以前は見たことがありませんし、クライマックスにボロボロな姿になるボンドは今見ても衝撃的

復讐劇という点ではダニエル・クレイグ2作目の「慰めの報酬」に近いものを感じますね

 

敵役のサンチェスは、あっさりボンドを味方だと信じる抜けた部分はありますが、不気味な落ち着きと激しく感情を剥きだす2面性は007の悪役らしくないキャラクターで、これまでの悪役の中でもトップクラスの冷酷な性格

 

007の悪役といえば漫画チックで個性的なキャラクターが多かったので、これまでの悪役と比較するとサンチェスは一見地味ではありますが、リアリティを追及した本物の悪を目指したキャラクターにも見えますね

 

そのサンチェスの部下、ダリオは顔つきが凶暴で、いかにも手強そうな雰囲気でしたが、あっさり撃退されてしまったのは少々拍子抜け

もう少し、ボンドをギリギリまで追い詰めるくらいのしつこさがあればシリーズ屈指の名脇役にもなれたかも?

ちなみに、ダリオを演じたベニチオ・デル・トロは、2000年に「トラフィック」でアカデミー賞助演男優賞に輝いています

 

個人的にイマイチだったのはボンドガール

キャリー・ローウェル演じるパメラは美人でスタイルも良いけど、特別優秀でもなく、足手まといのポンコツでもない、当たり障りがない無難な役どころ

撮影時期がエイズ問題に揺れていた時期だったこともあって、前作同様にボンドガールとのベッドシーンが少なかったですよね

女たらしのエージェントとボンドは皮肉を浴びせられましたけど、ムーア時代に比べればダルトンはどちらかというと硬派だと思いますけど

 

もう一人のボンドガール、ルぺに至っては添え物というか、物語をスムーズに進めるための案内役みたいな存在で、いなくても成立するような気もします

最後に何故かボンドと良い雰囲気になりますけど、ボンドとパメラのハッピーエンドへ仕向けるための演出みたいな気がして最後まで作品の都合によって動かされたキャラクターでした(笑)

魚のオブジェがウィンクして物語に幕を閉じるのは、洒落たオチだとは思いましたが。

 

「消されたライセンス」は好き嫌いが分かれる1作ですけど、自分はけっこう好きな作品ですね

ロジャームーア時代のコメディ色が強まった作風を初期のシリアスな作風に押し戻そうとした努力が垣間見えますし、今の時代に公開していればまた違った評価だったかもしれません

特にダニエル・クレイグの人間味のあるジェームズ・ボンドが高評価を得ているだけに、その先駆けとも言えるティモシー・ダルトンのボンドはもっと評価されるべきだと思います

 

今作はボンドと長年の仲間との関係が熱いんですよね

Mがボンドのライセンスを剥奪した後に、ボンドを狙撃する部下を止めて心配そうに見つめる姿は、長年の信頼関係を表す名シーンだと思います

 

Qもプライベートでボンドに協力するなど大活躍

普段は文句を言いつつも、いざという時はボンドの元へ駆けつけるQの友情を忘れてはなりません

 

出番は少なかったですが、2代目マネーペニーのキャロライン・ブリスは知的な外見で秘書役にピッタリな女性でしたよね

ダルトンと共に2作で降板したのは残念です、年齢もまだ20代だったので、ブロスナン時代も続投しても良かった気もしますが、何か事情があったのでしょうか?

 

ダニエル・クレイグのボンドの原型とも言える、ティモシー・ダルトンのボンドを改めて鑑賞すると、意外な共通点や発見がありますね

終盤、アルコールランプが建物に引火しただけで施設が崩壊という部分はご都合的ですけど、クライマックスにボンドが復讐を成し遂げる瞬間は壮絶でした

親友がライターだけにライターで復讐に決着をつけたのはジョークなのか?偶然なのか?

CGではなく、本物の爆破は見応えがありますし、盛大な爆破シーンは、まるでボンドの感情を意味しているような気もしました

 

たった2作で降板してしまったティモシー・ダルトンですが、実は3作目にオファーはあったそうです

脚本も完成していて公開予定は1991年で、東京も舞台の一つだったとか。

(没になった脚本のアイデアは後の作品に多少使われています)

結局、6年の空白に間に全てが白紙になってしまいましたが、できればもう1作くらいダルトンのワイルドなボンドを見たかったですね!

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の見どころ、ダニエル・クレイグ版007の最終作⁉ボンドの娘が登場?世界をパンデミックから救う⁉

2020年6月9日


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