007/ワールド・イズ・ノット・イナフ | 20世紀最後の任務、危険なアクションの連続!シリーズの功労者デスモンド・リュウェリンよ、永遠に…

あらすじ

ボンドは、石油王ロバート・キング卿の大金を回収する事に成功。キング卿が大金を確認するためMI6を訪れる。Mへ任務の経過を報告している最中に、ボンドはその大金に罠が仕掛けられていることに気づき止めようとするが間に合わず、キング卿は爆死した。ボンドは犯人と思われる女暗殺者を追うが、激しいボートチェイスの末、女暗殺者は「彼からは逃げられない」とい言葉を残して自爆する。

真犯人は009に銃弾を頭に撃ち込まれるも死なず、そのせいで痛みを感じない体となった不死身のテロリスト「レナード」だと睨んだMI6は、キング卿の娘であり、レナードに誘拐された経験があるエレクトラ・キングが次に狙われると判断。ボンドに彼女の警護を命じる。

そんな時、廃棄される予定の核弾頭がレナードによって盗まれ、キング社の石油パイプラインに仕掛けられる。ボンドは、科学者のクリスマス・ジョーンズや元KGBのヴァレンティン・ズコフスキーらと協力しながら、レナードを追ううちにレナードの背後に潜む本当の黒幕と石油独占計画を知る。

 

キャスト、スタッフ

キャスト 役柄
ピアース・ブロスナン ジェームズ・ボンド
エレクトラ・キング ソフィー・マルソー
クリスマス・ジョーンズ デニス・リチャーズ
レナード ロバート・カーライル
ヴァレンティン・ズコフスキー ロビー・コルトレーン
ジュディ・デンチ
デスモンド・リュウェリン
ジョン・クリーズ
マネーペニー サマンサ・ボンド

 

スタッフ
原作 イアン・フレミング
製作 マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督 マイケル・アプテッド
脚本 ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ブルース・フィアステン
音楽 デヴィッド・アーノルド
撮影 エイドリアン・ビドル
編集 ジム・クラーク

興行収入

興行収入は全世界で3憶6000万ドル(約385憶6000万)を記録し、1999年度世界興行収入8位にランクイン

ピアース・ブロスナンの007デビュー作『007/ゴールデンアイ』が保持していたシリーズ最高興行収入記録(3億5600万ドル)を本作が塗り替えた

感想(ネタバレ有)

007シリーズ第19作目、20世紀最後のボンド映画となった本作はピアース・ブロスナン版007の中で最もシリアスな作風に仕上がっています

ピアース・ブロスナンにとって、3回目のジェームズ・ボンドということもあり、だいぶボンド役が板についてきました

 

今回の見どころは、やはりソフィー・マルソー演じるエレクトラ・キングでしょう

ソフィー・マルソーのような有名女優がボンドガールで出演なんて、この時代の007では異例のキャストですよね

もう一人のボンドガールは『ワイルドシングス』などで有名なデニス・リチャーズなんですけど、ぶっちゃけ空気です(笑)

 

一応、デニスがボンドガールとしてはメインなんですけど、ソフィー・マルソーの存在感に、完全に食われちゃっています

制作陣もソフィー・マルソーの扱いに気を使ったのかも知れませんね

 

黒幕には『トレインスポッティング』『フル・モンティ』などで注目されたロバート・カーライルが出演

脳に被弾した影響で、痛みなどの感覚を失った男という設定は面白いかったんですけどね、設定は…ね。

 

そして、忘れてはならないのが、デスモンド・リュウェリンが演じるQの存在

ドクターノオ』、『死ぬのは奴らだ』以外のボンド映画に出演し、様々なガジェットで007を手助けし、観客である我々を楽しませてくれた愛すべきキャラクターが今作を持って引退

助手のRがQの後継者となりますが、次作『ダイ・アナザー・デイ』で、あっけなく最後の出演となってしまいました。もう少しジョン・クリーズが演じる2代目Qを見てみたかったなぁと個人的に思います

今作の撮影終了後、デスモンド・リュウェリンは交通事故で亡くなり、遺作となってしまいました。007シリーズを初期から支えてきたキャラクターの別れはつらいですね…

デスモンド・リュウェリンよ、永遠に

 

 

さて、ここから感想に入ります

今回のオープニングはシリーズ最長、15分にも及ぶ長丁場

普段なら銀行での一幕の後に、恒例のオープニングクレジットが入る所を、MI6本部の爆破、ロンドンの街を駆け回るボートチェイスと、掴みからアクションがてんこ盛り

 

クレジットが終わると、気球から落下した影響で左肩を負傷したボンドは任務から1度外されてしまいますが、担当の医師を誘惑して任務復帰にゴーサインをもらう、007らしい展開はシリアスよりな今作でも健在

ですが、左肩の負傷はこの後のストーリーで大きく生かされたわけでないので正直、いらない設定だったと思いますね。左肩の負傷しているにも関わらずガンガンアクションこなしちゃってますし(笑)

一応、レナードに肩を握られて激痛に顔を歪ませる接写がありますが、それより前のスキーのアクションの方が肩に負担がかかるし、キツイでしょ!

 

レナードもレナードで、感覚がないという設定が期待外れというか、空回りしてましたね

痛みを感じないのに、ボンドの尋問にビビってますし、エレクトラに振り回さているというか…情緒不安定で黒幕なのに小物臭が半端ない

もっとサイコパスなキャラを演じて欲しかったですね、エレクトラが真の黒幕という見方もありますが途中退場しますし、敵がもう少し強敵だったら間違いなくボンド映画の中でも5本の指に入るくらいの傑作になっていたと思いますね

 

よく考えたら007シリーズで女性の黒幕って今までいないんですよね、そう考えるとエレクトラの存在はシリーズでも異端な存在で、ボンドが女性を射殺するのも極めて異例

ゴールデンアイでオナトップを始末した時は、ボンド映画らしいユーモアなオチでしたけど、エレクトラの場合はボンド映画らしからぬ悲劇的な結末でしたし。

できればエレクトラは途中退場せず、最後の最後に決着をつけるような展開が良かったですね。レナードとの最後の対決がイマイチ盛り上がりに欠けただけに

ピアース・ブロスナン版007は敵役に恵まれなかったように見えます、ゴールデンアイのアレックは良かったと思いますけど

 

この時代の007シリーズでは珍しく重いドラマを描いているのは、メガホンを取ったマイケル・アップテッド監督の影響でしょうけど、もう何歩か踏み出した作りにしてほしかったかなぁ

アクション映画とは、殆ど無縁の監督を起用したのは、プロデューサーが今後のシリーズの方向を模索していたのかも知れませんね

個人的な推測なんですけど、プロデューサーたちは『ワールド・イズ・ノット・イナフ』を10数年後に製作する『スカイフォール』みたいな作品にしたかったのかな、と思う時があります

2作とも、MI6が襲撃されて、Ⅿがターゲットになりますし、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』で、もう一歩踏み出せなかったリベンジを『スカイフォール』で実現できたのかな…と。

これはプロデューサーとかにインタビューしないとわかりませんけど!

 

ダニエル・クレイグ(6代目)になってからボンドの人間的な部分に重点が置かれるようになったとか、ドラマパートに力を入れるようになったと言われていますけど、実際はピアース・ブロスナン時代から人間ジェームズ・ボンドを構想していたようですね

ピアース・ブロスナン本人も、007シリーズのマンネリを危惧して、新しい試みが必要だと訴えていました

ただ、この頃の007シリーズは、人気が盛り返し始めた時期だったので、あまり踏み込んだことはできませんでしたけど。

 

ゴールデンアイ、トュモロー・ネバー・ダイに比べ、だいぶシリアスな作風になっていますが、007シリーズのお約束はしっかり残しつつ、スリリングな展開が連続するので退屈無く鑑賞できる1本でしょう

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2020年7月16日


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